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よくあるご質問

Q1 就業規則がないと懲戒処分ができないと聞きましたが、本当でしょうか。

A1 懲戒処分は就業規則等の規定に基づいて適正に行います。

使用者である院長には企業秩序を維持するために懲戒権があり、看護師等の職員が服務規律や業務命令に違反した場合などには、懲戒処分をすることができます。しかし、懲戒処分は就業規則等の規定に基づいて適正に行う必要があるため、そもそも就業規則等がない場合は、懲戒処分ができないことになります。また、就業規則等に記載すればどのような懲戒処分も自由にできるというものでもありません。恣意的な処分は無効と判断されてしまうため、客観的・合理的な理由が認められるものでなくてはなりません。

懲戒処分の有効要件としては、一般に、以下の4つを満たしていることが必要とされています。

  1. 罪刑法定主義の原則
    懲戒事由、懲戒の種類・内容は、予め就業規則等に定めておくことが必要です。
  2. 平等取扱いの原則
    懲戒行為の内容や程度が同じ場合は、懲戒の種類も同じにします。
  3. 相当性の原則
    違反内容と処分内容が均衡していることが必要です。極端に差がある場合は無効と判断されます。
    (例:遅刻1回で解雇)
  4. 適正手続き
    懲戒処分に至る手続きが就業規則等に定められた手続きにのっとって適正に行う必要があります。

懲戒権を有しておきながら、就業規則の不備により懲戒処分ができないのでは、企業秩序の安定を保つことはできません。労働基準法により常時10名以上の看護師や事務職員を雇用した場合に就業規則の作成義務が生じますが、懲戒処分等を行うことを考えれば10名未満でも作成しておくことが望ましいと言えます。

Q2 試用期間中であれば、いつでも解雇できるのでしょうか?

A2 解雇権は広く認められておりますが、いつでも解雇できるわけではありません。

試用期間中であればいつでも解雇できるという訳ではなく、労働基準法上では、使用者である院長は本採用の場合と同じく、解雇する場合には少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。ただし、入職後14日以内の場合はその対象に含まれていませんので即日解雇(解雇予告なし)でも労働基準法上、違法とはいえません。

ただし、ここで問題となるのが、そもそも解雇が有効かどうかということです。一般的に看護師や事務職員が試用期間中である場合は通常の解雇よりも解雇権が広く認められています。これは、試用期間を設ける目的が、入職前の審査だけでは新規採用者の適格性を十分に把握することができないため、一定期間の勤務状況などを観察することによって本採用とするかどうかを判断するための期間であることから、その期間中に職員として不適格と認めた場合には、労働契約を解約することができるという解約権留保付の特約がなされている期間と解されているためです。しかし、解雇権が留保されているとは言っても、客観的かつ合理的で、社会通念上相当な理由が無い場合は本採用を拒否(解雇)することはできないとされています。

また、就業規則や雇用契約書に試用期間についての規定がなく、看護師や事務職員に対し、入職に当たって試用期間があることを知らせずにいた場合は、即時本採用になったと解釈されてしまいます。よって、試用期間を設ける場合には、必ず就業規則等に規定し、看護師や事務職員本人へ周知することが必要です。

Q3 業務に支障をきたすミスが増えてきた看護師や事務職員を今すぐ解雇にしたいのですが何か注意する点はありますか。

A3 解雇せざるを得ないほどの重大な事案であることを証明するための資料を残しておく必要があります。

能力不足による解雇については、看護師や事務職員本人に自覚がないことが多く、「こんなに頑張っているのに・・・」や「院長の指示が悪いから・・・」といった具合に責任転嫁する傾向があります。本人がミスを自覚していない以上、曖昧な理由で解雇を通告するとトラブルになることは必至ですし、また、家庭環境にも考慮する必要があります。「母子家庭である」「配偶者が失業中である」「住宅ローンをかかえている」等の事情がある看護師や事務職員はなかなか解雇に応じてくれません。無用なトラブルを避けるためにも、解雇に至った経緯を具体的に説明できるよう、より慎重な対応が求められます。

一般的にはよほどの事がない限り、能力不足による即時解雇は難しいと言わざるを得ません。度重なるミスがあったとしても指導や教育を怠っていた場合は解雇が無効と判断されるケースもあります。そのため、まずは当該看護師や事務職員の成績が改善するよう指導や教育を行い能力の向上を図る必要があります。結果として、能力や技能が期待したほど向上せず、今後も向上する見込みがないために、通常の労務提供が不能である、とのことから、問題のない解雇が可能になります。その際には、証拠として、教育訓練の記録や当該看護師や事務職員と他の職員との勤務成績などが比較できる資料等を残しておきます。

また、就業規則に規定があっても、それを理由に自由に解雇できるわけではありません。過去の判例では、「普通解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇できるものではなく、・・・、社会通念上相当な者として是認する事ができない時には、当該解雇の意思表示は、解雇権の濫用として無効となる」という事が示されています。その事由が本当に解雇に値するかどうかを様々な証拠によって事実を裏付けておく必要があり、この様な裏づけがあって初めて、問題なく看護師や事務職員を解雇することができるようになるのです。例えば、いわゆる「問題職員」を解雇するには、タイムカード等の勤怠の記録や始末書、譴責処分の記録、職員によって被った損害の記録といったものを証拠として残しておく必要があります。それでも、これらの段階を踏む時間的余裕がなく即時解雇に固執する場合は、最終手段として金銭解決による合意退職を検討することになるかと思います。

Q4 患者との恋愛が発覚した看護師がおりますが、他の看護師や職員の手前、解雇にできますか?

A4 一般的には、患者との恋愛を理由とした解雇はできないと考えられます。

医療業もサービス業の一種であり、近隣への風評は収益に悪影響を及ぼす可能性があるため、診療圏内での職員の行動に何らかのルールを作って一定の制限を設ける場合があり、そのひとつとして、患者との恋愛禁止をルールにすることがあります。しかし、大人である職員に対して私生活上の行為にどこまで関与し、制限をするのかは大変難しい問題でもあります。

ご質問のケースでは、「院内外を問わず、使用者の体面を傷つけ、または使用者の名誉をけがしたり、信用を失墜する行為をしてはならない。」と就業規則に規定している場合、服務規律違反による懲戒処分の対象とすることも考えられますが、患者との恋愛が解雇をするほどの重大な事案かどうかは慎重に検討する必要があります。
秩序違反においては判例でも、「従業員の職場外の職務遂行に関係のない行為であっても、企業秩序に直接関連するものや、企業の社会的評価を毀損するおそれのあるものは、企業株序による規制の対象となる」として広く認めたものや、「従業員の不名誉な行為が会社の体面を著しく汚したというためには、当該行為により会社の社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大であると客観的に認められなければならない」とし、客観的事由まで求めたものもあります。

いずれにせよ、経営上の悪影響があった訳でもなく、飲酒運転や不倫等の反社会的行為でないことを考慮すると解雇事由に該当するほどの秩序違反でないことは明白です。雇用契約において看護師や事務職員と患者との恋愛禁止の定めがある場合など特段の事情が存在しない限り、解雇を含めた懲戒処分を行うことは難しいといえます。

Q5 髪の色が徐々に派手になってきた看護師に対し、懲戒処分をすることは可能ですか?

A5 経営に悪影響を及ぼすほど度を越したものであれば、懲戒処分も可能です。

世間一般に自由な風潮が広がっていることや、医療従事者として常に清潔であることが求められていることに鑑み、就業規則等に「服装などの身だしなみについては、常に清潔に保つことを基本とし、他人に不快感や違和感を与えるものとしないこと。」とした身だしなみ規定を設け、ある程度の制限を加えることがあります。爪の色や長さは患者に直接触れる部分であるため、厳格に規定することはありますが、髪の色について、常識的な範囲であれば個性を尊重し、校則のようにどこまでがOKで、どこからがNGなのか、具体的な線引きは行われないことがほとんどです。今回の看護師のように、採用時には身だしなみを整えていた職員も職場に慣れるにつれ、徐々に個性を出してくる方もおり、何を基準に「他人に不快感や違和感を与えるもの」と判断し注意・指導を与えるか迷うところでもあります。

服装や外見に関して規制を行う主な目的は、@正しい服装着用による職場秩序維持、A公共性の高い事業の職員としての品位の維持、B患者等に不快感を与えることの予防、などが挙げられます。いくら個性を尊重するといっても非常識な身だしなみが職場において許容されないのはいうまでもありません。このまま放置しておくと、他の職員にも波及し、職場秩序が維持できなくなる恐れがあるため厳正なる対処が必要になります。本人の常識が自院の非常識であることを自覚してもらうためにも、「他人に不快感や違和感を与えるもの」といった抽象的な表現ではなく、具体的な髪の色をイラストで示すことも有効かと思います。

ご質問の場合、円滑・健全な経営が阻害される要因になりうる場合は懲戒処分をすることも可能です。処分の程度として、まずは「訓戒、譴責」などの軽度なものにとどめ、看護師に自主的な改善を促すのが妥当だと考えられます。

Q6 通勤手当を不正受給していた看護師に対し懲戒解雇を検討しております。問題はないでしょうか?

A6 不正受給していた金額や期間、返金や反省の状況により懲戒処分を検討してください。

通勤手当の支給基準を「最も廉価で合理的な経路」とすることもあれば、看護師や事務職員の「自己申告」とすることもあり、その在り方は様々です。特に本人の申し出による実費弁済の場合は、特段の調査も行わず申告通りに支給していることがほとんどだと思われますのでご質問のような問題が生じることがあります。

きわめて情状が悪く、多額・長期にわたり不正に詐取したような事案については解雇も含めた重い懲戒処分も可能だと思われます。他方、金額が比較的少額であるとか、不正受給に至るまでにやむを得ない事情があった場合は、懲戒解雇は過酷すぎると判断されてしまいます。

今回のケースでは、当初から詐取することを目的に不正申告していたといったことであれば悪質と認められ解雇も可能だと思われますが、全額返金している場合や反省の態度を示している場合は解雇以外の懲戒処分が妥当だと思われます。
今後も同様のことが起こらないようにするためにも、@定期券の提示を求め、申告した経路を実際に購入しているかを確かめるAインターネット等を利用し、申告した経路が合理的なものであるかどうかの調査を行う、などの方法により、不正受給を未然に防止する策を講じてみてはいかがでしょうか。

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